生命・環境科学部「環境科学科」

環境は今が一番面白い

卒論生とジェネプロ生が国際学会に参加しました

広島で開催された第15回国際カイアシ類学会(15th International Conference on Copepoda)に環境生物学研究室の学生さんとジェネプロ生が参加し、日頃の研究成果をポスター発表しました。

https://icoc15.hiroshima-u.ac.jp/home.html


上:発表の様子
下:研究材料の寄生性カイアシ類

ホームページによると、この学会は1981年から3年ごとに開かれており、日本での開催は1990年以来の2回目となります。なお、カイアシ類とはエビやカニなどを含む甲殻類の仲間で、世界で1万5千種近くが知られています1)。多くは水中の浮遊生物(プランクトン)として暮らしていますが、水のあるところであれば地面の湿った落ち葉の下に至るまでどこにでも生息しています。海洋生態系においては優占的な動物プランクトンであるため、食物網を支える重要な餌生物としての役割を担っています。

そのほかにも淡水域では蚊の幼虫(ボウフラ)を食べるため、蚊が媒介する感染症(マラリアやデング熱など)を制御するための候補として検討されています。さまざまなヒト寄生性あるいは動物寄生性の寄生虫を保有する中間宿主としても知られており、ワン・ヘルスと関わりの深い分類群の一つです。


参加後記(卒論生の声)

環境生物学研究室4年の堀口です。今回は一緒に作業をしていたラボ4年の竹元さんと獣医学科1年(ジェネプロ生)の高橋さんとともにポスター発表という形で学会に参加しました。私はもともと釣りが好きで、その延長として卒業研究では東京湾のマゴチに見られる寄生虫を調べています。当日の発表ではエラに見られる寄生性カイアシ類の寄生状況や、同じ寄生部位を利用する他の分類群との関係について報告しました。

一問一答(卒論生)

Q1. 参加する前はどんな気持ちだった?

A1. 発表が英語なので本当にできるのか不安だったが、参加すれば何か自分が変われるかもしれないと思ったし、研究をより身近に感じるチャンスだと感じた。

Q2. 学会参加中に印象に残ったことは?

A2. 想像していたよりも賑やかで明るかった。もっと堅い雰囲気なのかなと思っていたが、多くの参加者がフレンドリーであると感じた。

Q3. 期間中のエピソードを一つ教えてください

A3. 世界的に有名な先生に大変お世話になりました。手取り足取り教えて頂くとともに、常に気にかけて頂き、研究者である前にまず人としての大切さを教えられたように思う。

Q4. 参加して得られたことは?

A4. 取り組んでいる卒論の先を少し見通せるようになった。今回はカイアシ類という特定の分類群を対象とした学会であったが、それであっても色々なアプローチの仕方があることを知り、世界の広さや学問の深さを実感できた。

Q5. 次の目標を教えてください

A4. 学会で頂いたご意見や質問を参考に、今の研究テーマを広げていきたい。2025年にマレーシアで国際ワークショップがあるので、参加できるように英語の勉強を引き続き頑張っていく。

一問一答(ジェネプロ生)

Q1. 参加する前はどんな気持ちだった?

国際学会への参加という貴重な機会にワクワクする一方で、開催日が近づきポスターが完成するにつれて不安感も増していきました。日々の授業や課題もこなす必要があったので、学会準備のみに時間を割けない状況ではありましたが、先生をはじめ研究室の皆様にサポート頂くことができました。共に学会に向けて準備した時間は大変であり、同時に楽しく充実した時間でもありました。

Q2. 学会参加中に印象に残ったことは?

会場でのやりとりは当然ながら英語だったので、初日は海外の方に話しかけるのが難しく、勇気が必要でした。しかし、次第に会場の雰囲気に慣れていき、会期中に企画されたMid-Conference Tourに参加した際には、積極的に会話することができたように思います。研究者の方々と食事をご一緒させて頂き、観光を含めて充実した1日となりました。

Q3. 参加して得られたことは?

様々な観点からカイアシ類を研究している各分野のプロフェッショナルがいるのだと実感しました。ポスターや口頭発表、シンポジウムなどが全て英語であったため、理解しきれなかったことが悔しい点ですが、学部1年生として学会に参加できた経験は今後の学生生活を送る中での指針になると感じています。ポスター作成を通じて、集めたデータをどう活用するのか、あるいはどれだけ正確なデータが必要なのかをリアルに感じられたことも収穫だと思います。

Q4. 次の目標を教えてください

参加プロジェクトのメインタイトルでもある『新種を探そう』 にむけてもっと前進したいです。今まで集めたサンプルの種同定やスケッチなど形態的に種を同定できるようになりたいと考えています。

参考文献

1) Walter TC, Boxshall G (2024) World of Copepods Database. Accessed at https://www.marinespecies.org/copepoda on 2024-06-18. doi:10.14284/356 

https://www.marinespecies.org/copepoda